【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。







「葵、学級委員なの?」





横から口をはさんでみた。
女の子の視線もようやくこっちを向く。
気まずいなぁ。





「うん。…成り行きで」




やりたいなんて言わなそうだしね。
さては係決めのとき寝てたな?



葵はもう一度女の子のほうを向きなおして。





「ありがと。忘れて帰らないようにする」


「うんっ…、あたしが見張っとくから大丈夫!!」





女の子は嬉しそうに走って行った。
…びっくり。葵があたし以外の女の子にあんな風に優しく喋ってるのはじめてみたかも。





「葵ってあんな対応できるようになったんだ?」





あたしが指摘すると、葵は照れたようにそっぽを向く。
んー、葵もどっちかといえば弟っぽい。かわいい。





「……嫌われたくないし、羽依に」





…不覚。
ちょっとだけ、胸がきゅんって音を立てた。