【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。





頬杖をついたままあたしの顔を愛おしそうに見つめるこの人。



名前は、天崎葵(アマサキ アオイ)。




ダークブラウンのふわふわ髪に、くりくりの瞳。
間近で見るとより一層整い過ぎた顔立ち。



中学三年間、同じクラスだった彼。
周りの友達はみんな葵のことを”爽やかイケメン”なんて呼ぶけど。




それ、中2からね。
中1までは、超不良だったよ。




毎日喧嘩して、不登校で、たまに学校へ来たかと思えば頬に傷を作って。




それを軽い気持ちで宥めちゃったのが良くなかったんだと思う。




『せっかく綺麗な顔してるのにもったいないよ。傷のないバージョンの顔も見てみたいなぁ』




この言葉がね、たぶん葵のスイッチをオンにしちゃったんだね。