【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。





始業式から育吹と喧嘩勃発してた琴音だけど、無事に仲直りして、今では前より大事にされてるらしい。



んーっ、春だねぇ。
それも、超穏やかな春だ。



桜はまだ満開。
雨、降らないでね。





「羽依!」





ファミレスから出て、実は最寄り駅が一緒のあたしたち。
駅から歩いてたら、前から見覚えのある影。



大きく手を振ってる大好きなひと。





「行っといで」


「悔しいくらい愛されてるわね」




口々に言われて、背中をとんって押された。




あたしのことしか見えてないオオカミくんの元へ走る。




「ひよりーっ」




その胸に飛び込んだ。



恋人になって変わったこと。
あたし、”ヒヨ”って呼び方、やめた。




もう幼馴染じゃなくて、恋人だからね。



恋人用の呼び方へシフトチェンジ。





「お迎え来てくれたの?」


「ん」


「へへ。だいすき」




そういって腕を組んだら、照れたようにそっぽ向いちゃう。



そんなところも好き。
超好き。




城田日依。
この人、あたしの彼氏。



…へへ。
にんまりしちゃうね。




幸せな春の下。
あたし、世界一幸せを噛みしめた。




もっと、愛して。
ずっと、見てて。




もう一生、離さないよ?





「ひーよーりっ」


「なんだよ」


「ちゅーしよ?」


「っ……マンションついたらな」





世界とか銀河とか、それだけじゃ収まりきらない。




よそ見なんかする暇ないくらい、あたしが日依をトリコにするから。