「ずっと叫びたかったよ。俺は」
ヒヨの瞳が潤んでいく。
まだ、泣いちゃダメ。
将来のためにとっておいてよ。
その涙は。
「俺も、羽依と同じ気持ち」
「…うん」
「てか、俺の方が、好き」
バクバク。
もう、なにも聞こえないよ。
ヒヨ以外の音はぜんぶ、聞こえない。
…好きって、言ってくれた。
「あたしのほうが好き…だよ」
「俺のほうがね。……これだけは譲れねぇの」
頑固。
あたしだって、負けないくらい好きなのに。
だけど。
好きって勝ち負けじゃないからね。
結局は、あれかな。
両溺愛モノ…ってことかな。
