「やっていいことと悪いことがあるな、育吹」
ばっとうしろを振り返ったら、教室の壁にもたれて腕を組んでるヒヨ。
あたしの言いたいこと、言ってくれた。
「藤堂の気持ち考えてみ? お前にとっては所詮わざとであって本気じゃないのかもしれないけど、藤堂からしたらわざととか本気とかどうでもよくて、”育吹が他の女にデレデレしてた”って事実だけが残るんだよ」
うん。
そういうことだよ、育吹。
恋人って難しいからこそ、しっかり考えて行動するべきだったね。
「それが分かったら、はやく追いかけたほうがいいんじゃね? 藤堂、泣いてたし」



