去年はあたしとクラス離れて文句言ってたのに。
今年はまだ聞いてない。
…もう、吹っ切れた?
「城田と同じクラスなんだね」
教室の前のほう。
他の男子とゲームの話で盛り上がってるヒヨを見て、葵が言う。
「うん」
「やったじゃん、チャンス到来」
…びっくり。
琴音とか育吹に言われるならなんにも驚かないけど。
相手が葵だから、ちょっとだけ目丸くしちゃった。
「もう、なんともないの?」
「羽依に対して?」
「うん」
「なんともないことないけど、まぁ…」
軽く天を仰いだ葵。
「…今は、羽依が一番幸せだったらなんでもいいかなって思ってるよ」
葵の愛。
ひしひしと感じて、胸がきゅっとなった。
中学のときから好きで居てくれてたらしい。
その愛の大きさ、引き継ぐね。
目いっぱい愛したい。
だから今は、うんと背中押して。



