何事もなく春を迎えた。
桜、満開。


…綺麗。



校舎へ続く桜並木を見て目を潤ませてたら、後ろから肩を叩かれた。




「はやくしないと遅刻するぞ」


「…ヒヨ」




二年生にあがったヒヨ。
いつにもましてかっこよく見える。



…分かった。
制服、ちゃんと着てるからだ。





「羽依が着崩してないの珍し」


「…始業式だもん」





あたしも、人のこと言えないや。



普段第二ボタンまで開けてるシャツ。
一番上まで留めて、リボンもちゃんとつけてる。




カーディガンは脱いできた。
上にブレザーだけ。



…でも、ちょっと失敗。
まだ寒いかも。