「…とにかく、無事に付き合ったらちゃんと報告しなさいよ」
ツン、と窓の外見てるけど。
桃奈、なんだかんだ優しいね。
あたしに、ヒヨのことを任せてくれてありがとう。
「うん。…ずっと、桃奈ともちゃんと話してみたいって思ってたから、嬉しい」
「……そ」
「桃奈は美人だから、すぐ目いっぱい愛してくれる彼氏ができるよ」
一瞬こっち向いてくれてたのに。
また逸らしちゃった。
桃奈は誰よりも照れ屋。
話してみたら、意外と。
…うん、友達になれそう。
「じゃあそろそろ出る?」
「そうね」
背中押してくれたこと、心からありがとうって思ってる。
そういえば、葵にも言われたっけ。
『絶対、城田と付き合ってよ』…って。
なぁんだ。
勝手にひとりぼっちだと思ってたけど。
あたし、いろんなひとに助けられてたんだ。
「あ、お金……」
「いいから。先に外出といて」
財布を出そうとしたあたしの手を制止して、桃奈は振り返りもしない。
…超優しい。
結局、お会計は桃奈に任せて先にお店の外で待つ。
新学期。
…はじまったら、すぐに言うからね。
ヒヨ、たくさん待たせて、ごめん。