「それでは皆さん、安全に気を付けて、楽しい春休みをお過ごしください」





教頭先生の話。
長い。もう聞き疲れた。




季節はだんだん春へ向かおうとしてる。
三月。
別れの季節だよね。




終業式が終わって、1年1組から順番に体育館を出ていく。



体育館出るまでは一列になってたけど、扉を抜けた瞬間バラバラ。



琴音は育吹と先にいっちゃったし、ひとりでぶらぶら歩いてたら。





「あの、鈴森さんだよね?」


「…はい?」




急に呼び止められた。
なに、なに。



振り返ると、そこそこな塩顔イケメン。
上履きの色からして…二年生か。



顔を赤く染めたその人。
「ちょっと話いいかな?」だって。



別に暇だったし、いいや。
っていう軽い気持ちが、あとになってあたしの首を絞める。