さっきからの一連の流れ。
まるでカップルみたいだよ…。




「あ、あの、ヒヨ……」


「喋んないで」


「っ……」





なんかもう。
泣きそう。



ヒヨは「さっき自分から口移ししてきた羽依と同一人物とは思えない」って笑う。




…そんな意地悪、言わないでよ。




「あのね、ほんと、かわいすぎだから」


「……」


「勘弁して」





小さくつぶやかれた言葉。
静かな部屋に、あたしとヒヨの吐息だけがこだまする。




遠くの方で、リビングからテレビの音が聞こえてくるけど。




気にしてられない。
耳に厚い膜が張られたみたいに、音がこもって聞こえる。




あーあ、もう。
ヒヨのせいだからね…。




「ヒヨのバカ」




そういって、体を寄せ合って目をつぶった。
ヒヨはそのあと、無事に体温39度の大台を突破したらしい。