口にチョコをくわえて、ヒヨの目を見る。
…うそ、やっぱり見れない。
伏せがちな視線。
顔と顔の距離。
ほんの少しの薄い壁。
……ゼロになった。
ちゅ、とリップ音が鳴って顔が火照る。
ヒヨのくちびる、柔らかいな。
甘い甘いチョコが、あたしの口からヒヨの口へと渡っていく。
1分もしないうちに、離れた。
……どうしよう、心臓壊れちゃうかも。
だって、だって。
「…あたしの、ファーストキス」
ヒヨにあげちゃった。
…責任とってね、なんて、簡単に言ってみる。
今まで何人もと付き合ってきたけどね。
キスすらしてないんだよ。
超健全。
だって、頭の中にはいつもヒヨがいたからね。



