「…は?」と戸惑う声を出すヒヨを横目に、あたしはチョコの箱を開ける。
ヒヨが言い出したんでしょ。
今更、やっぱり冗談でした、って言うのは…。
ちょっと、乙女心弄びすぎ。
「ちょっと待って、羽依」
「なんで?」
待たないよ。
…あたしだって、たまにはオオカミになれる。
女だからって舐めてたでしょ?
分かって。
あたしも、そんなに弱くないってこと。
「ほら、口開けて」
「……ん」
目、泳いでる。
かわいいんだから、ヒヨ。
ねぇ。
あたしたち、幼馴染だけど。
そんな壁、邪魔でしかないこと、気づいてる?
いいんだよ。
幼馴染同士がキスしたって。
…もう、弱音吐かないし。
ヒヨが好き。
ヒヨの気持ちがどうであれ、あたし、前向く。
ただの幼馴染としてしか見られてなくても。
…好きにさせるから、絶対。



