「それ、口移ししてよ」


「……はっ?」





素っ頓狂な声が出た。
…く、口移しって言ったの?




それって…だって、口と口がくっつくわけで。
言わばキスと同じことでしょ?





「俺、熱しんどくてひとりで食えない」


「じゃ、じゃあ…あとからでも……」


「今食べたい」





いつにもましてわがままなヒヨ。
引かないつもり…?




でも、熱でしんどいのも分かる…。
あぁ、もう。
どうしたらいいの…?



どうしろっていうの、あたしに。





「……なーんて、流石に…」


「いいよ。しよう、口移し」




心臓、バクバク。
言った。…言っちゃった。



もう、引き返せない。