「悪いんだけど、ゴミ出しに行ってくれない?」


「いいよ」




いい機会。
外の空気を吸って気分を入れ替えよう。



せっかくの年末なのに、こんな暗い気持ちを持ったまま年越しなんて嫌だよ。




あたしはお母さんからひとつのごみ袋を受け取って、一旦部屋に戻って上着を羽織る。




「じゃあ行ってきまーす」




適当に挨拶。
玄関を出た。




外はやっぱり冷える。
…寒い。



はぁ、と白い息を吐いてみた。
もうすっかり冬だなぁ、って、今更ながらしみじみ思う。




9階に到着したエレベーターに乗り込んで、1階のボタンを押す。
もう何年も使い慣れたマンションのエレベーター。



また今年もここで年を越せた。
…嬉しい。