【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。






「ほんとだ。これうまい」


「でしょ? 栗と紅茶、どっちが好き?」




羽依が好き、とかからかってやりたかったけど。
それは、お預け。




「俺は紅茶かも」


「えーっ、意外。あたし、栗」





栗色、似合うしね。
羽依は栗を選ぶと思ってた。


もう何年隣で見てきたと思ってんの。





「あ、葵」




不意に、小さく可愛い声で俺を呼んで。




「髪の毛、跳ねて……」





そういって、俺の髪に軽率に触れようとする。
…ダメだよ。顔、近いし。



いつ襲われてもおかしくないってこと、分かっててね?





「好き」





…って、気づいたら口から出てた。
目の前でみるみるうちに紅潮していく羽依の顔。




ねえ、抱きしめてもいい?