【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。






『葵はなにしてたの』





気兼ねなく、俺の前の席。
イスを陣取って、逆向きに座る。




背もたれに両腕を組んで、その上にあごを乗せ。
しまいに、上目遣い。




…信じられない。
俺と同じ生物かよ、羽依。





『別に……ぼーっとしてた』


『ふーん?』




窓の外を眺める、その横顔。
今も忘れない。…目に焼き付いてる。





『1年のときのほうが景色綺麗だったなぁー』


『あぁ……三階だったからね』





目を細めて、『うん』と笑う。
綺麗。羽依のほうが、何倍も綺麗だ。




俺の目には…もうずっと、羽依しか映ってない。





『もう卒業まで秒読みだよ、葵。どうしよう』


『…どうしようもないんじゃない?』


『んーっ、でもさぁ! 葵と会えなくなったら、寂しいなぁ』