「ヒヨが帰ってきてた」
トン、て包丁が止まった。
お母さんも流石にびっくり?
だけど、顔を上げたお母さんは意外とあっけらかんとして。
「忘れてた。そういえばそんなこと言ってたねぇ」
「…お母さん知ってたの?」
また包丁をトントン。
「日依くんのお母さんとは最近もずっと連絡とってるからねぇ」って呑気に言う。
そっか。
あの頃、あたしとヒヨはまだ幼稚園児で携帯も持ってなかったから連絡取る手段なかったけど。
あたしたちの親同士は、普通に連絡先交換してたんだ。だから情報共有もばっちりなんだ。
…ずるい。
ていうか、ヒヨの連絡先聞けばよかった。今日。



