『葵は天崎家の落ちこぼれなんだから──』
俺より遥かに優秀な兄ちゃんの口癖。
いいよ、落ちこぼれでも。
ここから這い上がろうなんか思わない。
そう思ってた。
あの子に出会うまでは。
その日も、俺は喧嘩に疲れて校舎裏に座り込んでた。
相手は三年の先輩。
(……三対一は卑怯だろ)
手で口の端を拭うと、切れて血が出ていた。
もう見慣れた。
疲れがどっと溢れて、眠くなって。
こんなとこで寝るわけには…って思えば思うほど、睡魔は増す。
ゆっくり目をつぶり、小さく息を吐いた。
完全に寝る体制に入った俺を、その子は邪魔してきた。



