「そっか」
口角を持ち上げるヒヨ。
…なにか企んでるでしょ、絶対。
そして、さらに近づいて…。
ふわっ、て…また、ヒヨの匂いに包まれる。
抱きしめられるのはハロウィンの日以来だな…。
とか、のんきに考えてる場合じゃなくて。
ヒヨって、たまにここを海外と勘違いしてるんじゃないかなって思う。
だって、もう挨拶するみたいにハグしてくるんだもん。
「行くなよ」
耳元で、はっきり聞こえた。
ヒヨの低すぎず高すぎない、心地いい声。
あたし、なにも言い返せずにいたら。
「…これでよし」
不意に。
そんな意味不明な言葉が聞こえて来た。



