これ以上元カレについて詮索されたらやだからね。
卒アル、没収。
「もういいでしょ」
ぱたん、と閉じて、棚に戻そうとヒヨに背中向けたあたし。
ふわ、と一瞬にしてヒヨの匂いに包まれる。
うしろから抱きしめられたことに気づくには、タイムラグがあった。
び、びっくりした。
なに…? なんで?
疑問だけは次々湧き出てくるけど、ドキドキしすぎて声が出せない。
…息、苦しいよ。
「ひ、ひよ……」
やっとの思いで絞り出した声。
ちょっとだけ、かすれてた。
「…羽依の隣、いたかった」
背中に響くヒヨの声があたしの鼓膜を切に揺らす。



