「え……ひよ、くん?」
戸惑ってる原田さんの声。
急に好きな人からそんなこと言われたら、困るよね。
あたしもたぶんそうなるもん。
「原田とは比べ物にならないくらい羽依のほうが可愛いし、性格もいい」
うる…って瞳、ちょっと潤んだ。
最近涙腺緩いからね、そういうこと言うの反則かも。
「つーか、そんなん当たり前だし、聞いてる暇あったら手動かせよ」
「あ……うん」
なんかもう。
…大満足。
これを聞けただけで、ここに来た価値あった。
あたしは立ち上がって、葵に「帰ろ」と告げる。
続いて立ち上がった葵は最初こそ複雑そうな顔をしてたけど。
「敵わねえなー」
最終的にそう呟いて、窓の外を向いて笑ってた。