【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。






『放っといたら野垂れ死にしてそうだから』




強がりでそう答えた。
本当は、ヒヨがいないと野垂れ死にするのはあたしのほうなのに。




それを聞いたヒヨの、





『…そっか。まちがいないね』





心做しか切なく揺れた瞳を見て、“素直に好きって言えばよかった”なんて思ったな。





知ってた?
あたし、いつでもヒヨだけでよかった。




他には誰も要らないの。
ほんとだよ?




…でもヒヨは、あたしじゃなくても平気だったのかなって、あれからずっと考えてる。





幼稚園児ながらに同い年の男の子から告白されたときも、“好きな子がいるから”って断ってた。




だけど、ヒヨがもし同じ立場だったら、あっさり他の子と付き合っちゃうのかなって…。




考えたら怖くなって、ヒヨなんか一生モテなければいいのに…って思ってたんだよ。