【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。






「原田と、好きで回ったわけじゃないから」


「…え?」


「成り行き」





嘘だぁ…。
疑いの目でヒヨを見上げると。





「俺、ほんとは羽依と回る予定だったもん」


「…じゃあ、なんで」





あたしも…。
ヒヨと回れたらいいのになぁ、って思ってたよ。




「夏休み前にテストあっただろ」


「…うん?」


「あれで、負けたんだよ。一点差で」


「…誰に?」


「天崎」





それは…つまり。
あたしと文化祭で回れる権利を賭けてテストで戦ってたってこと?




なにそれ…しかも一点差って。
勝ってよ、そこは。





「いやぁ…気抜いた、完全に」


「もう…あたしもヒヨと回りたかったのに」




文句垂れたら、ヒヨの苦笑い。