【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。






『大丈夫? ヒヨ』





男子を追い払ったあと、いつもそう言ってヒヨに手を差し出す。
それをおずおずと握り返すヒヨが、たまらなくかわいかったんだよね。






『うん…ありがと、羽依ちゃん』





その笑顔見てたらね。
“気にしないでいいよ”
“なんでもしてあげる”…って気になっちゃう。




ヒヨの笑った顔は国宝なんだと思ってた。





『羽依ちゃんはなんでぼくと一緒にいてくれるの』




一度、そう聞かれたことがあったっけ。
なんで、とか、愚問だよ。



理由なんてない。
強いて言えば、好きだから。




…でもね、その頃の羽依少女はシャイだったからね。好きだなんて軽く口に出来なかったの。