「俺にも分けて」
って、突然ヒヨの声が聞こえたかと思えば。
ハンディファンを握るあたしの手首をつかんで、自分のほうに引っ張るヒヨ。
しまいに、あたしと顔を近づけて…。
ち、近い!! ほっぺたくっつきそう。
かぁぁ、と顔から火が出そうなくらい熱くなる。
「羽依?」
「…ん」
「顔真っ赤」
うるさいなあ。
そんな意地悪言うヒヨには扇風機の風なんかあげないんだから。
ヒヨから距離を取ってぷいってそっぽ向いたら。
「かわいいじゃん」
隣から聞こえてきた。
…無視無視! どうせからかわれてるだけなんだから。
そういいつつ。
あたしの顔は、さらに熱を帯びてしまうわけなんだけど。