【完】子犬なんかじゃないから、いただきます。






このまま4人でいて、話がややこしくなったら嫌だから、琴音に声をかけた。





「ふたり、もう帰ったら?」





一瞬キョトンとした育吹。
だけど、琴音とふたりきりになりたい気持ちが勝ったらしい。





「じゃあな、日依、羽依」


「ばいばーい」





交際4年目のカップルを見送ったあと、もう一度ヒヨと視線を交えた。


…気まずい。
超気まずい。




何話してたっけ?
って思い出そうとするけど、その記憶はどれも幼稚園時代のもの。



…もうあたしたち高校生だよ。
こんな幼い記憶の中の会話なんて役に立たない。




「俺と一緒に帰っても大丈夫なの、お前」





突然話しかけられて肩が震えたのと同時。
…お前って呼び方、やっぱり気になる。




あたしが理想を抱きすぎなのかな。
初恋の相手である、あの頃のヒヨに…。