「美代さん、おはようございます!」

今日も清々しい晴天の下。
いつもの場所といつもの時間帯に鉢合う私と美代さんと豆太。

今日は私の方が先に気付き、足早に向かいから来る美代さんの元へと駆け寄り、満面の笑みで朝の挨拶をする。

「おはよう心ちゃん。今日も元気ね」

そして、美代さんも私に負けないくらいの爽やかな笑顔を振りまいてくれて。
その表情が駿斗君によく似ていると最近改めて思うようになり、その度に嬉しさが込み上がってくる。

それから、毎度愛嬌を全身で振りまいてくれる豆太に今日も犬吸いをしてやろうかと思った矢先、ふとある違和感に気づく。

「あれ?首輪変えたんですか?リボンも付いてて可愛いですねー」

以前は青色のシンプルな色合いだったけど、今回のは明るいオレンジ色に変化しており、豆太の毛色ともよく合っていて、華やかさが一気に増した気がした。

「そうなのよ。男の子だけど、この際関係ないかなって思って。でも、そうよねー。普通気付くわよねー」

すると、何やら最後に渋い顔をされてしまい、一体何のことかと私は首を傾げる。

「駿斗は全然気付かないのよ。かなり変化したのに、興味がないことはまるで無関心というか。あの子昔からそうなのよねー」

確かに、これだけ色合いが変わって飾りまで付いてるのに気付かないのは、男子故だからなのか。

不満気に話す美代さんに少し同情しながら、一先ずいつもの犬吸いで今日も朝から豆太に癒しをもらう。


「それじゃあ、私はそろそろ失礼するわね。あまり心ちゃんを引き止めると駿斗に怒られそうだから。あと、今度また家に遊びにいらっしゃい」

それから、少しだけ世間話をした後、早々にこの場を立ち去ろうとする美代さんの気遣いに、私は少し気恥ずかしくなりながら、笑顔で別れを告げた。