「…………嫌です」

「…………じゃあ腕離しません」

「……-…………事故で麻痺した腕………治せますか……?」

「……………それはどういう…?」

「教えてください」

「……………どのような状態かにもよります」

「じゃあ………治る可能性もあるってことですか……?」

「状態によりますがね
 ゼロとは言えません」

「そう……ですか
 ちなみに…………その系統に詳しい方は…?」

「……………僕」

「へっ………?」

「香音さんは知らないと思うけど、これでも腕は良いんですよ
 麻痺した患者の治療も結構やってますし、一番実績も残してます
 この病院で聞きたいなら僕が妥当だと思いますよ」

「…………自信あるんですね」

「もちろんです
 その研究もしてるくらいですから
 ほら、行きますよ」

そして約束通り腕を離してくれた

「………香音さん、治したい人いるんですか?」

「…………………」

「院長にそれを頼みに来たんでしょ?
 …………紹介状がないと新規患者を受け入れないことを知ってるから」

「……………………」