熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~

「あれ、これないと困るんじゃないの?」

スマホを手にして確認できないときも、スマートウォッチならその場で確認や簡単な返信作業ができる。
成輔はかなり活用していたはずだけれど。

「仕方ない。届けてあげるか」

ちょうど手が空いたというのもあったが、成輔が仕事をしている姿を端から見るのもおもしろそうだと思ったのだ。
さすがにジーンズ姿でははばかられるので、レースのカットソーと仕事用でないグレージュカラーのパンツスーツを着る。

場所はオリエンタルローズパレスホテルだと知っている。馴染みのある場所なので、私は私でラウンジで軽食でも食べて夕食にして帰ろう。そんな算段で出かけた。

国内外の宿泊者の多いホテルは、成輔たちが参加しているパーティー以外にも会があるらしくロビーには大勢の人の姿があった。レストランだけ利用したり、結婚式の客もいるだろう。そんな中、成輔がいるだろうバンケットルームを目指す。
賑やかな会場に到着し、成輔を呼び出してもらおうか考えたが、それでは成輔がどんなふうに外面を発揮しながら周囲と交友を結んでいるのかがわからない。会場の中は開け放たれた大きなドアからよく見えるので、少しだけ覗き込んでみた。

「あ、いた」

成輔は割と簡単に見つかった。背が高いのと、とにかく見栄えがするルックスなのだ。人に囲まれていてもよくわかる。