「そもそも平等って意識が妻として」
「だから、妻は家、夫は外の考えはうちには当てはまらないんだよ」
激しい母。のらりくらりと、でも譲らない娘。
これが長年の私と母の関係性だが、やっぱり根本は合わないなあと感じる。嫌いなのではない。性格や考え方が合わないのだ。
母は、はーと深いため息をついた。
「成輔さんにも風尾社長にも申し訳ない。こんな娘を嫁がせてしまって」
「まだ嫁いでませんが」
「本当に今からだって、百合と取り換えた方がいいんじゃないかって思ってるわ」
随分な言い草じゃないのお母さま。取り換えるって、物じゃないんだから。
「百合が可哀想だからやめてあげな。百合は成輔なんかあてがわれても困るよ」
「あら、そんなことないわよぉ」
母は残ったタルトをぱくんとひと口で頬張る。どういう意味?といぶかしげに見守る私は、母が頬張ったタルトを飲み込むまで待つしかない。ごくんと飲み込み、お茶をすすると母は言った。
「百合はずーっと成輔さんのことが好きだったんだから。あなたにとっても百合にとっても成輔さんは初恋の人ってこと」
「はあ、またそれ? 私と同じく小学生時代の話でしょ。そんな昔話をほじくり返して、今も好きなはずだなんて、とんでもない言いがかりだから」
「だから、妻は家、夫は外の考えはうちには当てはまらないんだよ」
激しい母。のらりくらりと、でも譲らない娘。
これが長年の私と母の関係性だが、やっぱり根本は合わないなあと感じる。嫌いなのではない。性格や考え方が合わないのだ。
母は、はーと深いため息をついた。
「成輔さんにも風尾社長にも申し訳ない。こんな娘を嫁がせてしまって」
「まだ嫁いでませんが」
「本当に今からだって、百合と取り換えた方がいいんじゃないかって思ってるわ」
随分な言い草じゃないのお母さま。取り換えるって、物じゃないんだから。
「百合が可哀想だからやめてあげな。百合は成輔なんかあてがわれても困るよ」
「あら、そんなことないわよぉ」
母は残ったタルトをぱくんとひと口で頬張る。どういう意味?といぶかしげに見守る私は、母が頬張ったタルトを飲み込むまで待つしかない。ごくんと飲み込み、お茶をすすると母は言った。
「百合はずーっと成輔さんのことが好きだったんだから。あなたにとっても百合にとっても成輔さんは初恋の人ってこと」
「はあ、またそれ? 私と同じく小学生時代の話でしょ。そんな昔話をほじくり返して、今も好きなはずだなんて、とんでもない言いがかりだから」



