熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~

「美味しいけど、成輔の作ってくれるケーキもなかなかだよ」

私が言うと、母がキッと私を睨んだ。

「あなた、成輔さんにケーキを作ってもらってるの? まさか台所仕事をさせてるんじゃないでしょうね」
「え、家事は分業してるけど。まあ、成輔の方が上手いから、料理は彼の方が多めに担当してくれてるかな。おやつも作ってくれるし。その分、私は掃除を……」
「あなたはどうしてそうなの!」

母が呆れと怒りの声をあげた。

「成輔さんは会社経営者なのよ。どれほど忙しいと思ってるの。それを支えるのが妻のあなたでしょう。台所に立たせるなんて言語道断。家のことはあなたが完璧にしなさいな」
「え、なんで。私も仕事してますが」
「妻の務めでしょう!」

先週、男女差の区別と差別について考えたばかりだったけれど、役割のあてはめもそうだと思う。
我が家の母も立派な役割論者だった。

「お母さん、今時の、という言葉は抜きにして、私と成輔はお互いに納得する関係性を自分たちで模索して同居してるんだよね。まあ、私が家事が不得意で成輔が得意だから、成輔にはかなり家事負担をしてもらってる部分はあるけど、私も努力して平等にしようとはしているし」