私はカレーの火を止め、つかつかとキッチンから出てくる。きょとんとしている成輔に言い放つ。
「いや、居心地よすぎて、逆に悪いわ!」
「居心地悪い?」
「確かに家事は成輔がやってくれるっていうのを魅力に感じましたが? ここまで完璧にこなされて私出る幕無しだとつらい! なんか、なんていうか飼われている気分!」
そう。これは対等な夫婦というより飼育されている感じがあるのだ。
安心安全な環境を整えられ、美味しいごはんを与えられた猫の気分。
「昨日タブレットで見せてくれた条項。あれ、変更しよう」
「どうしたいの?」
「家事は分担制! 料理は……私もたまに担当する」
「葵はごはんが作れるのかな?」
「私だってその気になれば作れるよ!」
嘘です。作れません。自分で作った煮物がマズすぎて半泣きで食べたこともあるし、○○のもとみたいな商品を使っても味が決まらない方です。
でも、このまますべて成輔というのは、私が納得できなくなってきた。
成輔は楽しそうに笑ってタブレットを取り出した。
「それじゃあ家事は分担しようか。料理はできるときでいいよ」
「曜日で決めよう。週三回は私!」
「うんうん、わかったよ」
成輔は私の主張を、子どもでも相手にするかのように楽しそうに聞いていた。
「いや、居心地よすぎて、逆に悪いわ!」
「居心地悪い?」
「確かに家事は成輔がやってくれるっていうのを魅力に感じましたが? ここまで完璧にこなされて私出る幕無しだとつらい! なんか、なんていうか飼われている気分!」
そう。これは対等な夫婦というより飼育されている感じがあるのだ。
安心安全な環境を整えられ、美味しいごはんを与えられた猫の気分。
「昨日タブレットで見せてくれた条項。あれ、変更しよう」
「どうしたいの?」
「家事は分担制! 料理は……私もたまに担当する」
「葵はごはんが作れるのかな?」
「私だってその気になれば作れるよ!」
嘘です。作れません。自分で作った煮物がマズすぎて半泣きで食べたこともあるし、○○のもとみたいな商品を使っても味が決まらない方です。
でも、このまますべて成輔というのは、私が納得できなくなってきた。
成輔は楽しそうに笑ってタブレットを取り出した。
「それじゃあ家事は分担しようか。料理はできるときでいいよ」
「曜日で決めよう。週三回は私!」
「うんうん、わかったよ」
成輔は私の主張を、子どもでも相手にするかのように楽しそうに聞いていた。



