熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~

ようやく朝食の席についた成輔は私を見て微笑んだ。

「寝起きの葵、可愛い」
「顔を洗っただけのすっぴんを可愛いとは。ストライクゾーン広すぎじゃない?」
「葵は自分の美しさを理解していないね。そこがいいんだけれど」

そう言って、コーヒーマグを手に取る。

「冷蔵庫に昨晩焼いたブランデーケーキがあるから、おやつに食べてね」
「え? ケーキ焼いたの?」
「きみが寝てからね。おやつも俺が担当でしょ」

成輔は当たり前という顔で答える。

「きみさえよければお弁当も作りたいんだけど」
「ええ? いい! 遠慮する」
「そう?」
「忙しいんだから、無理しないでよ」

必死に遠慮するが、成輔はなぜ遠慮するのかわからないようだ。

「俺は作りたい方だから気にしないで。俺が作ったもので葵が形作られていくと思うとゾクゾクするよね」
「絶対いらない」

思わず真顔で答えていた。やっぱり成輔はちょっとおかしい。
ハッとしてベランダを見やると、すでに洗濯物が風にはためいている。

「洗濯も終わってるの?」
「風呂掃除もね。リビングに掃除機をかけるのはきみが起きてからと思ってた。ロボット掃除機もあるけれど、手が空いたときは自分でかけて雑巾もかけたいからね」

なんだ、この家事スペシャリストは。
青年実業家でこれほど家事マスターが他にいる?

成輔は朝食の片づけと掃除機かけだけやって、出勤していった。