熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~

会社からの帰り道は上り電車なので比較的空いている。座席に腰かけ、私は考えていた。
朝、成輔から言われた結婚のメリットの数々。

仕事を誰にも文句言われず続けられる。これは大きなメリットだ。やっと望みの研究職につけたのだ。実家にいれば、両親は華道家としての勤めを求めるだろう。百合が家元になるなら、近くで支えてほしいと願っているに違いない。
院田流を愛していないわけじゃない。華道は生活に根差したものだったし、思い入れもある。だけど、私が選んだ道はもう違うのだ。
成輔はおそらくその点については理解してくれている。
院田流の娘ではなく、私と結婚したいと言っているのだから。

さらに家事全般が得意と言っていた。これはすごい。
私は最低限しかできないし、料理はセンスがないようでレシピを見てもイマイチ美味しく作れない。ひとり暮らしのときは、自分が作る料理が口に合わな過ぎて、おにぎり以外はほとんど学食や栄養補助食品で済ませていたくらいだ。
食べるのは好きなくせに、だいぶ食への意識が低い。

「ケーキが焼けるって本当かな」

思わずぼそりと呟く。百合や母が焼いてくれる焼き菓子は甘党の私の癒しだ。同じくらい美味しい焼き菓子を提供してくれるなら、結婚も悪くない。