熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~

「お姉ちゃん」

洗面所で薄いメイクをしていると、その百合が呼びに来た。すっぴんなのに、やっぱり綺麗な百合。

「成輔さんがお迎えに来てるよ。会社まで送るって」
「ええ?」

頼んでいない。勘弁してほしい。
メイクだけ済ませて、仕度も中途半端なまま自宅の門内に駐車されてある成輔の車に向かう。

「おはよう、葵ちゃん。昨日はごめんね。お詫びにお迎えにきたよ」
「お詫びの意味知ってる? 逆効果って言葉知ってる? ひとりで出勤できるのでお帰りくださいな。成輔ってそんなに暇なの?」
「葵ちゃんが思うより、時間のやりくりが上手ってだけだよ。ああ、昨日のことで驚かせたというより、怯えさせちゃったかな。それなら、俺はしばらく距離を置かないとね。紳士として、女性を怖がらせたなんて反省しないと」
「誰が怖がってたって? 成輔を怖いなどと思いませんがねえ」

怒りと苛立ちで口の端をひくつかせる私は、おそらく挑発にのってしまっている。しかし、ここで引き下がるのも腹が立つので、捨て台詞のように成輔に言い放った。

「五分待ってて。鞄をとってくる」
「もっと待てるよ」
「五分で充分」

素早く仕度を終え、車に戻る。成輔は満足そうだ。