熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~

「風尾家と院田家とはこれからも家同士のお付き合いレベルで仲良くしていけばいいじゃない。風尾グループにお世話になってることも多いし、そのあたりは家元の百合が上手にお付き合いさせていただくから」
「葵ちゃんは?」
「院田流の華道家ではないけれど、院田家の人間ではあるから。引き続き、風尾グループの次期社長とは懇意にさせていただく……みたいな感じで」

そこまで言って、もう一度成輔を見る。

「それとも成輔の考えでは、院田家と縁を結んでおきたい事情が何かあるの? 新規事業の計画とか……院田流の名前が必要だったりする?」

院田流華道を後ろ盾に新規事業があるなら、妻に院田家の娘をと望む理由もわからなくはない。しかしそれとて詳しく話を聞けば、経営協力で済むのではないだろうか。

「どちらにしろ、成輔が人生を費やす必要はないんじゃないかな。結婚って人生の一大事でしょ。まあ、私の価値観で言えばだけど……」
「俺も結婚は人生の一大事だと思ってるよ」

成輔がふふっと笑う。

「葵ちゃんは本当になんにもわかってないなあ」
「は?」
「あのね、好きでもない子のために休日使って京都まで行く?」

成輔の横顔は穏やかでいつもどおり。それなのに、ちょっとぞくっとするような迫力があった。