「前も京都までわざわざ来てたよね。暇なの?」
「葵ちゃんに会いたいと思ったら行くでしょう」
嫌味を言っても暖簾に腕押しだ。私は車窓を眺めながら尋ねる。
「昨日の今日でなんのご用事?」
「俺から誘わないと、デートにならないかなと思って。今日はこの後、食事って考えてるんだけど」
「やだ。帰ります。今日の夕飯はお母さんが豚の角煮を作ってくれると言っていたので、絶対に家で食べる」
子どものようだとわかっていながら、成輔の前で大人ぶっても仕方ないので主張しておく。春から実家に戻ってきて、母や妹の手作りの食事が毎日の楽しみなのだ。
「そりゃ、タイミングが悪かったね。今日は諦めるよ」
成輔はあっさり引き下がる。
「交際って、たまに食事をする関係でいいんだよね」
「そう。それで距離を縮めて、関係を深めて、結婚」
結婚。その現実味のない言葉に私は運転席の成輔を見やった。
「ねえ、成輔。そろそろ、本音を聞かせて」
「本音?」
「成輔にとって、院田家はそんなに旨味のある存在じゃないでしょ。結婚で縁を結ぶなら、風尾グループにメリットのある家は他にたくさんある」
成輔はフロントガラスを見つめ、穏やかな表情のままだ。私の話を聞いているのかいないのかもわからない。
なおも私は言う。
「葵ちゃんに会いたいと思ったら行くでしょう」
嫌味を言っても暖簾に腕押しだ。私は車窓を眺めながら尋ねる。
「昨日の今日でなんのご用事?」
「俺から誘わないと、デートにならないかなと思って。今日はこの後、食事って考えてるんだけど」
「やだ。帰ります。今日の夕飯はお母さんが豚の角煮を作ってくれると言っていたので、絶対に家で食べる」
子どものようだとわかっていながら、成輔の前で大人ぶっても仕方ないので主張しておく。春から実家に戻ってきて、母や妹の手作りの食事が毎日の楽しみなのだ。
「そりゃ、タイミングが悪かったね。今日は諦めるよ」
成輔はあっさり引き下がる。
「交際って、たまに食事をする関係でいいんだよね」
「そう。それで距離を縮めて、関係を深めて、結婚」
結婚。その現実味のない言葉に私は運転席の成輔を見やった。
「ねえ、成輔。そろそろ、本音を聞かせて」
「本音?」
「成輔にとって、院田家はそんなに旨味のある存在じゃないでしょ。結婚で縁を結ぶなら、風尾グループにメリットのある家は他にたくさんある」
成輔はフロントガラスを見つめ、穏やかな表情のままだ。私の話を聞いているのかいないのかもわからない。
なおも私は言う。



