「そうかな。その岩千先生、本気で百合ちゃんが大事だから身を引いたとは考えられない? 年上でまだ修行中の身。かたや百合ちゃんは今を時めく若手華道家」
まさか、とは思った。しかし、確かに私が覚えている限りの岩千先生は穏やかで優しい人だった。百合から聞く彼の姿も、紳士的に大事に百合を扱っているように感じていた。
「だからね、俺も一緒に行くよ」
「成輔もついてくるの?」
「百合ちゃんには俺もお世話になってるし、義理の兄として放っておけない。案外おせっかいなんだよ」
そう言うと成輔は車のカードキーを手にした。
成輔の運転で、広尾にある岩水先生の工房にやってきた。
岩水先生はすでに裏手の自宅に戻っていて、工房の片づけをしていたのは岩千先生だ。最後に私が会ったのは学生時代だったはず。
「こんばんは」
工房の戸口で声をかけると、作業台を拭いていた岩千先生は顔をあげ、いぶかしむように私を見た。それから「ああ」という顔になる。
「院田先生のお嬢様、葵さんですね。お久しぶりです」
「岩千先生、お久しぶりです」
「そちらの方は」
成輔が進み出て笑顔で挨拶をした。
「はじめまして。葵の夫の風尾です」
まさか、とは思った。しかし、確かに私が覚えている限りの岩千先生は穏やかで優しい人だった。百合から聞く彼の姿も、紳士的に大事に百合を扱っているように感じていた。
「だからね、俺も一緒に行くよ」
「成輔もついてくるの?」
「百合ちゃんには俺もお世話になってるし、義理の兄として放っておけない。案外おせっかいなんだよ」
そう言うと成輔は車のカードキーを手にした。
成輔の運転で、広尾にある岩水先生の工房にやってきた。
岩水先生はすでに裏手の自宅に戻っていて、工房の片づけをしていたのは岩千先生だ。最後に私が会ったのは学生時代だったはず。
「こんばんは」
工房の戸口で声をかけると、作業台を拭いていた岩千先生は顔をあげ、いぶかしむように私を見た。それから「ああ」という顔になる。
「院田先生のお嬢様、葵さんですね。お久しぶりです」
「岩千先生、お久しぶりです」
「そちらの方は」
成輔が進み出て笑顔で挨拶をした。
「はじめまして。葵の夫の風尾です」



