百合は自室の布団で目覚めていた。実際は熱でもうろうとしている様子だ。
贅鳴音が聞こえ、幼い頃の寝込んでいた百合を思い出し不安になる。
「百合、苦しくて眠れないの? 解熱鎮痛剤は飲んだ?」
「……お姉ちゃん、お見舞いなんていいのに」
百合はかすれた声で答える。枕元に風邪薬が置かれ、とんぷくの解熱剤も飲んだ形跡があった。しかし、百合の熱はまだ高そうだ。実際、額と首筋に触れると燃えるように熱い。
「お薬効かないなら、別なものをもらってきた方がいいかな。これから、一緒に付き添おうか」
「大丈夫。寝ていれば治る。私、こういうの慣れてるから」
百合はどこかかたくなだ。体調が悪いからではなく、精神的に閉じている様子が感じられた。
「百合。何かあったの?」
私は百合の布団の横にひざまずき、彼女の顔を覗き込む。
「たいしたことはないの。岩千先生に振られたってくらいで」
「え?」
百合の片想いの相手……。でも、順調に距離を縮めているはずじゃなかったのだろうか。
つい最近も地方の美術館にふたりで出かけたと聞いていた。
「お師匠の岩水先生が私たちが頻繁に会っていることを知って、岩千先生に言ったの。『修行中の身で余所見できるほどの立場か』って」
贅鳴音が聞こえ、幼い頃の寝込んでいた百合を思い出し不安になる。
「百合、苦しくて眠れないの? 解熱鎮痛剤は飲んだ?」
「……お姉ちゃん、お見舞いなんていいのに」
百合はかすれた声で答える。枕元に風邪薬が置かれ、とんぷくの解熱剤も飲んだ形跡があった。しかし、百合の熱はまだ高そうだ。実際、額と首筋に触れると燃えるように熱い。
「お薬効かないなら、別なものをもらってきた方がいいかな。これから、一緒に付き添おうか」
「大丈夫。寝ていれば治る。私、こういうの慣れてるから」
百合はどこかかたくなだ。体調が悪いからではなく、精神的に閉じている様子が感じられた。
「百合。何かあったの?」
私は百合の布団の横にひざまずき、彼女の顔を覗き込む。
「たいしたことはないの。岩千先生に振られたってくらいで」
「え?」
百合の片想いの相手……。でも、順調に距離を縮めているはずじゃなかったのだろうか。
つい最近も地方の美術館にふたりで出かけたと聞いていた。
「お師匠の岩水先生が私たちが頻繁に会っていることを知って、岩千先生に言ったの。『修行中の身で余所見できるほどの立場か』って」



