熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~

九月も後半にさしかかるとぐっと秋めいてきた。風に涼しさより冷たさを感じるようになった頃、母から電話があった。

「百合が熱?」
『そうなの。もう三日も下がらなくて。感染症の検査は陰性だったから大丈夫だと思うんだけど』

百合は幼いころから身体が弱かった。虚弱で胃腸機能が低く、お腹が痛くなるせいか食事を嫌がりひどく痩せていた。それがまた免疫機能を下げるらしく、風邪をひきやすいし重症化しやすかった。
年を経るごとに少しずつ食事に抵抗がなくなり、小学校にあがる頃にはやせ型だけど私と同じものが食べられるようになった。それでも、学校で流行る感染症はすべてかかり、私より症状が重かった。
大人になった今も、頑健なタイプではない。

『食欲がないのを見ると、昔を思い出して心配でね』

幼い百合を思えば、母の心配はもっともだろう。私も心配だ。

「うつる感染症じゃないなら、お見舞いに行ってもいいよね」
『あなたも臨月だからあまり動き回ってほしくはないけれど』
「少し動いた方がいいんだよ。百合も私の顔を見たら、食欲がわくかも」

そう言い張って私は実家にお見舞いに向かった。そう遠くない距離だ。駅前でゼリーを買っていく。