二十歳前後の成輔は目をみはるばかりの美貌の青年だったし、スタイルや服装もモデルのようだった。
華道の家元の娘という以外は何もない、地味な理系女子には釣り合わないことこの上ない。隣に並んでほしくないし、親しげにもされたくない。
どうせ、中学生の頃と変わらず女子には困っていないはず。家の繋がりだけで、構いにくるのはやめてほしかった。
何度かはっきりとやめてほしいと言った。
『でも、俺は葵ちゃんが好きだしなあ』
成輔は昔と変わらぬ口調で言った。兄が妹に言うような親愛の声調で。
『それに、俺ときみはそのうち婚約するだろ。今から仲良くしておいた方がいいよ』
ああ、彼はまだ私が家元になると思っているのだな。
私は家元にはならないし、やりたいことがあると伝えた。でも彼は、私の話を適当に聞き流しているのだろう。その頃はそう思っていた。
いつか百合と婚約の運びになったとき、姉の私とデートしていた過去は邪魔になる。それに私自身、見た目ばかりがよくて、まったく腹の見えない成輔とは一緒にいたくなかった。
適正な距離を取り続けたここ十年ほど。
しかし、二十五になってこんな事態に陥るとは思わなかった。
初交際相手が成輔。結婚を前提に、ということなのだから頭が痛くなってしまう。
*
華道の家元の娘という以外は何もない、地味な理系女子には釣り合わないことこの上ない。隣に並んでほしくないし、親しげにもされたくない。
どうせ、中学生の頃と変わらず女子には困っていないはず。家の繋がりだけで、構いにくるのはやめてほしかった。
何度かはっきりとやめてほしいと言った。
『でも、俺は葵ちゃんが好きだしなあ』
成輔は昔と変わらぬ口調で言った。兄が妹に言うような親愛の声調で。
『それに、俺ときみはそのうち婚約するだろ。今から仲良くしておいた方がいいよ』
ああ、彼はまだ私が家元になると思っているのだな。
私は家元にはならないし、やりたいことがあると伝えた。でも彼は、私の話を適当に聞き流しているのだろう。その頃はそう思っていた。
いつか百合と婚約の運びになったとき、姉の私とデートしていた過去は邪魔になる。それに私自身、見た目ばかりがよくて、まったく腹の見えない成輔とは一緒にいたくなかった。
適正な距離を取り続けたここ十年ほど。
しかし、二十五になってこんな事態に陥るとは思わなかった。
初交際相手が成輔。結婚を前提に、ということなのだから頭が痛くなってしまう。
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