「挙式は春以降かな。早めにしようと言ったものの、規模を考えると大きな会場を抑えなきゃならないから」
「これから会場を決めるんだね。風尾グループの次期トップの結婚式だから華やかにやりそうね」
「うん、どうだろう。うちの事情もあるし、まあまあ派手な結婚式になりそう」
「お姉ちゃん、そういうの苦手でしょう」
「うん。でも、成輔の仕事に関係するなら頑張らなきゃね」

今までは自分が自分のペースで仕事をしていられればいいと思っていたけれど、成輔と夫婦になる覚悟がようやく決まって考える。成輔は大きな企業のトップになる人。今だって自分の会社を複数経営しているCEOだ。
妻の私があまり自覚のない行動をしては、成輔の評判に関わる。
そういったことを全然考えられなかった今までの私は、自分本位で子どもだったんだなと思う。

「お式、楽しみにしてる。ウエディングドレスは着るよね。お色直しはどうするの? カラードレス? 色打掛? 引き振袖?」
「百合の方が楽しみにしてるなあ。百合も振袖新調しちゃいな」
「私も続きたいから、訪問着に仕立て直しできるものにする」

百合がうふふと可愛らしく笑うので、姉はもやもやそわそわしてしまう。