「成輔、成輔……」

もっと欲しくて、ねだるように名前を呼んで、私からキスを返してしまう。

「煽んないで、止まらなくなる」

そんなことを言いながら、成輔は何度となく私にキスを繰り返す。服の上から肌をたどる指先にも、吐息にも熱が込められている。もつれるようにシングルベッドに倒れ込み、互いの身体をきつく抱きしめ合った。

「ふた月、葵のことばかり考えたよ」
「会いにこなかったのに」
「あんな強引なことをしてしまって、会いに来られなかったよ。きみを傷つけた」

傷つけたのは私の方だ。私ははずした眼鏡をシーツに放り投げ、自ら成輔の頬に触れ、キスをした。

「成輔、好き。傷つけたのは私だよ。たくさん待たせてごめん。たくさん寂しい想いさせてごめん」
「きみを好きなだけで俺は幸せだったから、寂しくなんかなかったよ。このふた月はちょっと寂しかったけど」
「私も寂しかった。……ンッ」

首筋にキスをされ、身体が跳ねた。成輔がかすかに喉を鳴らすのが見える。

「明日、引っ越しだから……その、今日はしないよ」
「自分に言い聞かせてるでしょ。それ」
「うん、そう」

答えながら、唇は私の鎖骨に押し付けてくる。あべこべだ。

「成輔……私、初めてだから……本当に今日は……」
「うん。最後まではしない」
「じゃあ、どこまでやっちゃう気よ!」

ムードも何もなく言い返す私をキスでふさいで、成輔は蠱惑的に微笑んだ。

「内緒。体験してみてのお楽しみ」