「とりあえず、お互いの家のためにも『前向きに交際してみる』ってところで今日は納めない?」
私がいつまでもぶすっとした顔で無言なので、成輔が提案してきた。
「嫌だけど」
「即拒否しないでよ」
「新社会人の私は忙しいし、CEOの成輔も忙しい。忙しいふたりが時間を合わせて会うなんて無意味。交際が成立しない。今日、ここで破談にした方がいい」
つらつら言いながら先に立って歩くと、成輔が後ろで残念そうな声をあげる。
「じゃあ、百合ちゃんと結婚かぁ」
私はくるりと振り向いた。
「だから、百合を人質みたいに扱わないでくれるかな? 私の可愛い妹をさ」
「でも、さっきの口ぶりだと葵ちゃんは俺と百合ちゃんが結婚するもんだと思ってたんだろ。それなら、いいじゃない」
成輔はへらへらと笑いながら続ける。
「でも、傷つくなあ。何年も好きだって言い続けてきたのに、きみはちっとも信じてくれていなかったんだね。寂しいなあ」
私は苛立ち、ずいっと成輔に歩み寄る。
「百合を人質にしただけじゃなく、あなたの気持ちを無視してきた件の賠償でもしろって言うの? 冗談じゃない」
私がいつまでもぶすっとした顔で無言なので、成輔が提案してきた。
「嫌だけど」
「即拒否しないでよ」
「新社会人の私は忙しいし、CEOの成輔も忙しい。忙しいふたりが時間を合わせて会うなんて無意味。交際が成立しない。今日、ここで破談にした方がいい」
つらつら言いながら先に立って歩くと、成輔が後ろで残念そうな声をあげる。
「じゃあ、百合ちゃんと結婚かぁ」
私はくるりと振り向いた。
「だから、百合を人質みたいに扱わないでくれるかな? 私の可愛い妹をさ」
「でも、さっきの口ぶりだと葵ちゃんは俺と百合ちゃんが結婚するもんだと思ってたんだろ。それなら、いいじゃない」
成輔はへらへらと笑いながら続ける。
「でも、傷つくなあ。何年も好きだって言い続けてきたのに、きみはちっとも信じてくれていなかったんだね。寂しいなあ」
私は苛立ち、ずいっと成輔に歩み寄る。
「百合を人質にしただけじゃなく、あなたの気持ちを無視してきた件の賠償でもしろって言うの? 冗談じゃない」



