居心地が悪い。だけど、一緒に住んでいたらお互いもっとキツかっただろう。
今は距離が必要なのだと思う。
成輔とどうしたらいいか、私はまだ迷っている。

成輔の気持ちを無視した行動は私に非がある。コンプレックスを刺激され、自分で勝手に成輔と百合をお似合いだと決めつけた。今落ち着いてみれば、あんな言い方をすべきではなかったのだ。

一方で、このまま何事もなかったかように成輔と仲直りもできないだろうと感じていた。私たちの同居が正しかったのか、もうわからないからだ。
せめて、百合の気持ちをはっきり聞いておきたい。その上で、私は自分の気持ちを決めよう。


朝、仕度を整えたところでインターホンが鳴った。下宿は小さなアパートだ。

「はい、今出ます」

誰かわかっているので、簡単に答えて、鞄を手に外に出る。
玄関の前では今谷が待っていた。

「おはよう、院田」
「おはよう、今谷」

同じく京都支社に出向中の今谷は、もう少し郊外の下宿にいる。しかし、京都支社までの経路にあるからと朝私を迎えにくるのだ。
一応だが、私ははっきりと断った。曲がりなりにも婚約者のいる身なので困る、と。
しかし、今谷は聞いてくれない。