「いらっしゃいませ」

「お邪魔するよ」

「お邪魔します」


お父さんの希望で、侑真くんのバイト先のバーにやって来た。

夜の雰囲気…というよりは、やっぱり侑真くんがそこにいるからか、若者も入りやすそうな雰囲気ではある。


「日菜も来たんだ?」

「うん」


提供してるのはお酒だけじゃないって侑真くんが言ってたから、お父さんについてきちゃった。


「カウンター席にどうぞ」

「ありがとう」


侑真くんに接客してもらえるなんて、贅沢空間だぁ…。


「初めてだからメニュー表どうぞ。
マスター来るまでちょっと待っててくださいね」


私にメニュー表を渡すと、侑真くんはマスターさんを呼びに行ったのか、裏に行ってしまった。


「日菜はお酒は飲んじゃダメだよ」

「わかってるよ!」


お父さんがニコニコしながら私が選ぶところを見てる。

……よく考えたら、お父さんと外食をするのは初めてかも。

喫茶店に行ったことはあるけど、みくるも一緒だったし、

あの時も顔は隠してたから、こうやって家族としての外食は初めて。

だから嬉しいのかな。さっきからニコニコしちゃって。