「…っ、」

私だって、こうやって逃げてるけど…ゆうちゃんとキスしたくない訳じゃない……。

そうじゃない……

そうじゃないの……っ。

黙って俯いていると私よりも頭1つ分背の高いゆうちゃんが目をかがめて顔を覗き込んでくる。

追い討ちをかけるかのように、ゆうちゃんは言った。

「僕とキスするの……嫌、ですか?」

「うっ!!!」

私のハートにクリーーーンヒット!

至近距離で目が合ったゆうちゃんは
きゅるるんおめめの子犬フェイス!

毎朝必死で直そうと頑張るものの、
どうにも治らないらしいその寝癖!

かわかっこいい!とはまさにこの事!

私のタイプどストライク!

私はそんなゆうちゃんからサッ!と目をそらす。

「違う……っ。嫌、じゃなくて…」

そう。

私はゆうちゃんとの決してキスが嫌な訳じゃ、ない。

走ったせいか、ゆうちゃんが見つめてくるからか、様々な原因が考えられる心臓の高鳴り。

自分の胸にそっと手を当てて、言った。

「ゆうちゃんがかっこよすぎて……かわいすぎて……キスなんかしたら私…っ、…死んじゃうよ……」

「せっ……っ、せんぱい…」

正直な気持ちを伝えた私にゆうちゃんは顔を真っ赤にして口元に手の甲を持っていく。