「ゆうちゃん見て見て!私あそこ行きたい!!」

工学部の出し物であるクレーンゲームを指さして先輩は、ぴょんぴょんとはしゃいでいた。

わー……なんて可愛いんだ、僕の彼女は…。

しみじみと実感しながら僕は先輩に微笑みかけた。

「どれがいいですかっ!僕がなんか取ってあげます!」

「え!ほんと!?じゃああのクマがいい!」

先輩はGET口から1番近いクマのキーホルダーを指さした。

わぁあああ!欲しがるもんもちょー可愛い!

「分かりました!」


*数分後*

僕は内心焦っていた。

今日の文化祭!
キスの為に僕はかっこよくてスマートな男でいると決め、今朝校門をくぐったんだ!

それなのに……

それなのに……

えーーー……
なんで取れないんだよー……。

たかが工学部のクレーンゲームでこんなに苦戦するとはー……。

あぁーーー……。

‪”‬たかが‪”‬とか言ってすみませんーー!
工学部さーん……。

「ゆ、ゆうちゃん?もういいよっ!気持ちは伝わったし!あっちで一緒にタピオカでも……」

「いえ!あのクマは必ず僕が手に入れます。そして先輩にプレゼントします…!」