怒りでウサギクッションをボロボロにした翌日、あたしは6時頃目を覚ました。
ベッドから起き上がり、布の飛び出たクッションを横目に見て、部屋を出る。
出て行ってやる。

今日、今、この瞬間にあたしは決めた。
こんな家。

こんな家族。
あんな学校。

あんな双子。
こっちから願い下げだ!!
ブリブリと怒りながらキッチンへ向かい、パンを数枚買い物袋に入れる。

「さよなら」
小さな声でそう言い放ちあたしは玄関を出た。
眩しい朝日に目を細め、真新しい旅立ちに心は躍る……が。

「おはようございます、カヤ様」
その声にあたしは太陽から下界へと視線をうつした。

玄関の目の前に立っている白髪の紳士。
まだ早い時間だというのに、ビシッと決まっているスーツ。
そして爽やかな笑顔……。