ブランド服の背中にベッタリとソフトクリームがついた俺は、デートの約束をすっぽかして家に帰ってきていた。
観音開きの大きな玄関を入り、真正面にあるリビングのドアを開く。

30畳ほどの広さがあるリビングには長いソファが置かれていて、壁掛けの大画面テレビが設置されている。
そのソファに座っていた弟の圭(ケイ)が、振り向いた。

「あれ、晴(セイ)もう帰って来たの?」
そう聞いてくる圭の顔は俺と瓜二つ。
顔だけじゃない、身長も体重もおれたちはほぼ同じの、一卵性双生児なのだ。

俺の名前は平野晴(ヒラノ セイ)。
弟の圭と共に16歳の高校1年生だ。
「あぁ、今日は散々な目にあったんだ」

俺はそう返事をして、ソフトクリームがついた背中を見せた。
圭は目をパチクリさせて「それだけで帰って来たの?」と、言った。